医療用ウィッグは保険適用外?抗がん剤治療に対する助成金の取り組み
抗がん剤治療で脱毛したり、円形脱毛症になったりすると、ファッション用のウィッグでは、カバーしきれなくなることがあります。仕事でウィッグを使用するのであれば、自然な見た目と装着したときの心地の良さを求めて作られた医療用ウィッグがおすすめです。
しかし、医療用ウィッグは既製品とオーダーで価格が変わり、より自然なものを求めると自己負担が大きくなってしまいます。医療用ウィッグの自己負担を減らすため、健康保険は適用されるのか?助成金はでるのか?詳しく解説します。
医療用ウィッグは健康保険適用外
医療用ウィッグは、直接治療にかかわる費用ではないため、健康保険適用外です。健康保険は、病気やケガで医療を受けたり薬の処方の医療費が、適用の条件となっています。
医療用ウィッグは全額自己負担
医療用ウィッグは、健康保険適用外となり、購入者の全額自己負担となります。精神や身体への治療とはちがい、医療用ウィッグは、外見を整えるための精神的負担を軽減させるためのものであると考えられているからです。
一方、乳がんによる乳房再建手術は、形成外科による治療です。日常生活の負担を軽減させる目的もあり、健康保険適用となっています。医師から医療用ウィッグを勧められた場合も、健康保険適用外となり、全額自己負担であることを覚えておいてください。
医療費控除としても利用できない
医療用ウィッグは、健康保険適用外となるため、医療費控除としても利用することができません。
確定申告で医療費控除を使えば、所得税や住民税の節税につながります。税金が課せられる所得を所得控除で減らし、課税対象の金額を抑えるメリットがあります。抗がん剤などの医療費は、健康保険適用となり、高額になれば高額療養費制度を利用して、医療費の軽減が可能です。
しかし、差額ベッド代や医療用ウィッグは、健康保険が適用されず、費用は全額自己負担です。
たとえ、がん治療の一環として購入した医療用ウィッグであっても、直接医療にかかわるわけではありません。そのため、健康保険適用にならない費用については、医療費控除として節税につなげることはできないのです。
医療用ウィッグは助成金を活用する
医療用ウィッグは、各自治体で取り組まれている助成金を利用すると、自己負担の軽減につながります。ただし、誰でも医療用ウィッグの助成金を利用できるわけではありません。
医療用ウィッグに対する助成金の取り組み
医療用ウィッグを購入するときは、住民票のある自治体で、助成金の取り組みがあるかどうかを確認してください。まだ、全国の自治体が取り組んでいるわけではなく、居住する自治体によって、医療用ウィッグに対する助成金の取り組みが異なっています。
一般的に、医療用ウィッグを購入してから助成金の申請となります。医療用ウィッグの購入を検討するときは、まず市町村の窓口やホームページで以下を確認することがおすすめです。
●助成金の有無
●助成の対象となる費用
●助成金額
●申請方法
●申請期限
助成金の有無だけでなく、助成金額や申請期限も自治体によって異なります。
医療用ウィッグに対する助成金額は3万円から5万円、申請期限は90日から1年など自治体によって大きな差があります。購入後の助成金の申請であっても、事前に助成金額を知ることで、医療用ウィッグに対する予算を決めやすくなるでしょう。
医療用ウィッグには、既製品やオーダーメイドがあるので、購入費用と医療用ウィッグの種類選びの基準にするためにも、事前の確認がおすすめです。
医療用ウィッグを長持ちさせて自己負担を軽減しよう
一般的に、医療用ウィッグは、半年から2年の寿命の消耗品であるため、長持ちさせることが、自己負担の軽減につながります。医療用ウィッグは、健康保険適用もなく、助成金も全額負担ではないため、買い替え時期が早くなると自己負担が増えてしまいます。
少しでも自己負担を減らすよう、こまめにお手入れを行い医療用ウィッグを長持ちさせましょう。
医療用ウィッグは2つ用意する
医療用ウィッグを2つを交互に使うことで、傷みの速度を抑えられるようになります。
夏は紫外線や汗、冬は乾燥や静電気などが原因で、医療用ウィッグはどんどん傷んできます。医療用ウィッグを休ませながら使用すると長持ちするのでおすすめです。
とくに、髪への摩擦による静電気は、ウィッグが傷む原因となります。毛先からパサつきが出てくることが多いので、静電気防止ミストを使い静電気をおきにくくするのもよいでしょう。
適切なお手入れで長持ちさせる
一週間から10日のペースで専用シャンプーやトリートメントを使って洗うことをおすすめします。
冬は静電気を抑えるスプレーやミスト、夏はシャンプーをしない日は、固く絞ったタオルで汗をかいた部分を拭くなど、使ったままにしないよう、日々のお手入れをおこないましょう。
なお、医療用ウィッグは高熱に弱いので、高温で長時間のドライヤーの使用はお勧めしておりません。ドライヤーを使用する時は、低温で遠くから風を当てるように使用してください。
医療用ウィッグは、毛先から傷んできます。毛先のチリチリが目立つようになったら、専門店や購入した店舗でメンテナンスをしてもらいましょう。医療用ウィッグの縮れを伸ばし、きれいにお直ししてくれます。医療用ウィッグのお手入れで困ったら、ぜひ相談してみてください。
医療用ウィッグは助成金を活用しつつ長持ちさせることが大切
医療用ウィッグは、健康保険適用にはならず、全額自己負担です。助成金制度を導入している自治体が増えていますので、ぜひお住いの自治体へご確認ください。
医療用ウィッグは消耗品です。
長持ちさせることを意識して、日頃から丁寧にお手入れすることで、医療用のウィッグの寿命を延ばし長持ちさせましょう。