がん治療とウィッグ
脱毛期をうまく乗り越えるためのポイント
脱毛期をうまく乗り越えるためのポイント
抗がん剤治療の副作用の中で脱毛という外見の著しい変化は女性に大きくダメージを与え、心と体を苦しめています。
それで、脱毛を避けて薬を選定したり、はじめから治療を拒否する方もいらっしゃるそうです。
けれども、実際にはうまく脱毛期と付き合いながら、治療を行う方もたくさんいらっしゃるので、そういう先輩の体験者から知恵や知識、注意すべきことを集めてみました。
治療生活に取り入れ、お役立つことを願っております。
また、ご自分のご経験のなかでのアドバイスなども募集中ですのでお気軽にお寄せください。
このページの目次
1、脱毛が始まる時期と髪が生えるまで
脱毛の始まりは投薬後の2週間から
治療に使用するお薬の種類やまた個人の体質によって、脱毛の程度やスピードが多少異なるようですが、一般的には投薬してから2~3週間から髪が抜け始めると言われています。
地毛の再生はお薬をやめて半年から
治療が終わり、半年~1年経つと髪が再び生えてきます。
新しく生えてくる髪は元の髪質と違う方が多く、細くなったり、白髪が混じったりし、生えてくる箇所も均等でないのが普通です。
ショートスタイルにできるまで1年かかります
新しく生えてきた髪が前より弱くなっていても、大事な地毛ですので、そのまま伸ばす方も多いですが、ショートスタイルになれるまでは少なくても1年がかかります。
2、なぜ脱毛しちゃうの?
抗がん剤は細胞分裂が早いものをターゲットにする性質があります
手術以外に行うがん治療法で、抗がん剤治療という薬物療法はがん細胞がふえるをの抑えたり、成長を遅らせたり、転移や再発を防いだり、小さながんで転移しているかもしれないところを治療するためなどに用いられます。
また、抗がん剤は活発に増殖する細胞に対して治療効果を及ぼします。
毛髪をつくる細胞は分裂がとても盛んでいます
抗がん剤を投与すると、がん細胞だけでなく、皮膚や腸管、骨髄、毛根の細胞など、細胞が分裂したり増殖することで機能を維持している組織や器官に副次的に影響が起こります。
髪は毛根の毛母という細胞から作られますが、増殖が速いため、抗がん剤に攻撃されやすいので毛髪が生えなくなり、元の髪も抜けてしまいます。
抗がん剤の投与が終わると、髪をつくる機能は復元します。
髪をつくる細胞つくりの機能は一時的に阻止されただけなので、治療が終わると自然に元にもどり、髪が生えてくるようになります。
3、脱毛期の頭皮ケアーについて
まえもって髪を短めにしておきます。
髪を前もって短めにしておくと、脱毛が起きた際に処理しやすくなります。
だからといって、ぼうず頭にするのは却ってよくありません。
髪が短すぎて、落ちた髪がチクチクしたり、探しづらくなります。
シャンプー剤を刺激の弱いものに変えましょう
脱毛が起き始めると、頭皮がぴりぴりしたり、かゆくなることもありますので、普段使いのシャンプーがしみたりしたら、ベビー用シャンプーのようにお肌にやさしいものに変えたほうがよいです。
シャンプーをするときも、爪を立てずやさしく指腹でこすりましょう。
頭皮を清潔にします
脱毛の時には、体の免疫力も落ちてきて、頭皮も感染をおこしやすいです。
髪がなくても皮脂はでるので、いつもと同じくシャンプーをして、清潔な頭皮環境を保ちましょう。
4、脱毛期のスキンケア―について
抗がん剤治療中は皮膚や爪の新陳代謝を行う細胞がダメージを受けやすくなります
新陳代謝が順調に機能しなくなるため、皮膚や爪は非常に薄くなってしまいます。
お肌の表面は非常に乾燥した状態となり、シミになりやすくなります。
爪の色も変色したり、抜けてしまうこともあるようです。
お肌を清潔に保ちましょう
皮膚を清潔に保たないと細菌や真菌が繁殖し、皮膚障害を起こしやすくなります。
できるかぎり入浴やシャワー浴を行って、清潔にしましょう。
使用する石鹸は、肌のpHに近い弱酸性の洗浄剤をお勧めします。
乾燥の予防をこころかけます
皮膚が乾燥し、柔らかさや滑らかさが失われると、より傷つきやすくなります。
入浴後は、保湿能力のあるクリームを塗布することをお勧めします。
表皮の水分保持機能を保つために、お風呂のお湯の温度はぬるめがよいでしょう。
5、脱毛期の飲食について
食事はおいしく、楽しくとることをこころかけましょう
抗がん剤治療に入ると、薬の副作用や精神的な心配、不安により、食欲不振になり、食事をとることがつらくなる時期があります。
無理に食べようとせず、外食を取り入れたり、食べたいときすぐ食べられるように好きなものを手元に用意しておいてもよいです。
また、色合いや歯応えを工夫するなど、状況に合わせて、食事を楽しめましょう。
脱毛期に入ると体力が落ちているので栄養バランスに気をつけましょう
嘔吐や吐き気のある時期を過ぎると食
欲が戻る方が多いようですが、脱毛のショックで食欲を失ったりします。
体力を維持し、また感染症などを起こさないためにも、エネルギーや、タンパク質、ビタミン、ミネラルが不足しないように、バランスよく食事を取り入れましょう。
症状別に応じて食事の工夫をしましょう
抗がん剤治療中に特定的に禁ずる食べ物は特にないようですので症状に合わせて自分に合った食事をとることが大切です。
たとえば、体重の減量が気になるんでしたら、少量でもエネルギーの高いものを取り入れたり、口内炎ができた時は、刺激の少ないもの、柔らかいもの、よく煮る料理を工夫し、食材をミキサーにかけてベースト状にして食べることなど、料理を工夫することを楽しむことにしましょう。
6、脱毛期にまつ毛と眉はどうする?
目や鼻などを保護することをこころかけましょう
副作用でまつ毛や眉、鼻毛などの体毛がぬけます、まつ毛がぬけるとゴミが目に入りやすいし、鼻毛がなくなっても呼吸器官に感染症を起こす可能性もありますので、風が強い日や人が混雑な場所へ外出の時はサングラスやマスクをかけることにしましょう。
つけまつげやお化粧で上手に工夫してきれいにしましょう
「病は気から」と言われるほど、外見はとても重要です。
つけまつげは市場で安く手に入ることができます。
つけまつげ用ののりもいろいろありますので、さがすとつかいやすいものに出会えます。
眉毛を描くには、はじめは時間がかかるかと思いますが、アイブロウパウダーとアイブロウペンを上手に使い合わせ、その上に眉ようコーティング剤を塗っておくと、汗をかいても落ちないです。
お肌のクリーニングに気を付けましょう
治療中は、皮膚が弱くなり、アレルギーも出やすいので、 まつ毛ようのりやお化粧品が肌に合わなくなったら、すぐやめて肌にやさしいものに変えましょう。
また、寝るときは、お化粧をきれいにクリーニングしてお肌を休ませることも大事です。
7、医療用ウィッグの準備時期は?
用途別で医療用ウィッグを準備しましょう
治療が決まりましたらあらかじめ医療用ウィッグを用意した方が安心ですが、今はすぐ購入できるものも多いですので、間に合わなくて慌てることはしなくて済みます。
ただ、特別の日や運動のために使う医療用ウィッグをオーダーメイドでつくる場合は40日ぐらいの時間がかかりますので、早めに注文したほうが楽です。
今は、通販で外出せずに、品質の良いものを安く手に入れることができますので購入ルートをいろいろ調べて、自分に合うものを選びましょう。
洗い替え用やスペアを用意しておくと安心です
医療用ウィッグはお肌に直につけるものなので、肌着と同じく汚れたり、髪が傷んできたりします。ずっと同じウィッグだけを使うとウィッグの痛みが早くなり、長持ちできないので、洗い替えやスペアを用意して着回しをした方がよいです。ウィッグを専門店にメンテナンスに出すと5日ぐらいはかかるので、お手元にウィッグがなくて急な用事に困ることがないようにしましょう。
8、医療用ウィッグの夏対策
保冷剤、汗ふきクールシートなど夏用グッツを上手に取り入れます
夏になると汗をかきやすいので、ストレスにならないように外出の時は保冷剤スカーフを首にまいたりして熱を取りましょう。
市販の汗拭きクールシートをウィッグ用インナーキャップの中に入れてひんやりしていて気持ちいいです。乾いても汗にぬれたらちょっぴりひんやりしてきます。
デオドラントミストや消臭剤を用意します
ウィッグは毎日洗えないので、においがきになります。デオドラントミストや消臭剤をウィッグの裏側のネットにもかけて、まめにお手入れをしましょう。
頭皮を清潔にします
頭皮から皮脂がいっぱい出るので、髪がなくても毎日シャンプーします。お肌の毛孔ケアをちゃんとしておいて、新しい髪が生えてくるのを迎えましょう。
9、乾燥時期の医療ウィッグのお手入れ
静電気に気をつけます
秋から冬にかけて乾燥時期に入ると、ウィッグは静電気が起こりやすくなります。
静電気になると髪がむつれたり、痛みやすくなるだけでなく、ヘアスタイルの見栄えも崩れてしまいます。
ウィッグの髪にトリートメントやウィッグ専用保湿オイルミストをまめにかけます。
人毛と人工毛ミックスのウィッグや人工毛のみのウィッグは静電気が特に起きやすいので専用の洗剤やトリートメントを使用しましょう。ブラシも金具のウィッグ専用のものがよいです。
静電気が起きやすい生地の洋服をさけまよう
ウィッグの人工毛に使う素材はポリエステルが一般的なので、ウィッグにこすれあう部分の洋服を綿や麻素材のシャツやブラウスにすると静電気がおきにくくなります。
柔軟剤を使っても静電気の防止になるようです。
乾燥肌にならないようにスキンケアをします
お肌に保湿クリームをつけて水分を保っておくとウィッグとの摩擦でパチパチなるのを防げます。
食事で野菜と水分を充分とるようにするのも、乾燥肌にならないポイントです。
10、医療用ウィッグの種類と選ぶポイント
ウィッグ用ウィッグもみるみる内に進化し、種類も多岐にわたっていますが、いちばんのポイントの使う人のライフスタイルです。
家にいる時に使うウィッグ
毛付きインナーキャップの上にバンダナ―を付けるタイプがあります。
シャワーキャップのように頭回りにゴムになっていて、キャップ全体に髪がついてあるタイプ
普通の医療用ウィッグと同じ仕様ですが、実用性に着目したタイプ
機械製のものを主流に、つむじ部分に手植えをして自然さを出すものもあります
お仕事の時に使うウィッグ
つむじや分け目が人工肌仕様になり、ベースキャップが伸縮性ネットや通気性のよい網目ネットタイプ
アジャスターでサイズ調整をし、ウィッグピンで下地ネットの網目に止めて固定させます
総手植え製か半手植え製のものがあります
運動の時に使うウィッグ
頭にもしっかり固定できるように、フロントやもみあげ部分を両面テープで貼るタイプ
温泉や水泳の時でも使えるものがあります。
総手植え製が多いです。
特別の日に使うウィッグ
ヘアーアレンジができるように、生え際が薄いレースでなっているタイプ
総手植え製と半手植え製のものがあります。
11、医療用ウィッグの価格について
医療用ウィッグの価格は販売メーカーの規模や販売ルート、ウィッグに使う素材により異なります
大手販売メーカーは多くの方に知って頂くため、広告や宣伝費にコストがかかるので高額のものになります
15万から50万以上するものもあります。交通の便利の駅前や繁華街などに店舗を設置しているので、探し安いし、ブランドだと安心できるという方もいます。
ほぼ同じ仕様と素材で中小企業だと12万から20万ぐらいで購入できます。
きれいな環境の個室ルームのある店舗経営ですと価格は高めになります
医療ウィッグは個室ルームが基本なので、専門店舗を抱えるとそれだけのコストがかります。8万から18万ぐらいするものが多いです。
通販会社で自宅で試着できるシステムを投入してるのもありますが、4万円から10万までのものが主流です。
ウィッグの毛髪素材と植毛の手法によって価格がことなります。
ウィッグに使用する毛髪は人工毛か人毛、人毛と人工毛のミックス3つに分かれています。
人工毛を使用し、機械製だと価格がぐっと下がりますが、自然さに欠如しています。
価格は数千円から1万円ぐらいですが、医療用ウィッグよりファッション用としてよく使われます。
人毛100%で、総手植え製のものが価格が一番高いですが、人毛の種類や質によりまた異なります。中国人毛でレミーヘアというのが日本人には一番近い毛質ですが、高価のため、インド毛や東南アジアの人毛を使われていますが、価格は安く収めるものもあります。12万から20万ぐらいします。
人毛と人工毛のミックスで、総手植え製だと、5万円から8万円、半手植え製のものだと、3万円から5万円します。
12、医療用ウィッグができるまで
ウィッグの植毛までは海外で行われています
ウィッグは先にベースキャップを縫製し、ベースキャップの上に手や機械で植毛しています。
ウィッグに使う毛髪も丁寧に選別し、加工処理をし、色を染めて、植毛できる形に整えて、ウィッグの各部位に使われる分量を量って、仕分けておきます。
植毛専門の技術者が一本一本ベースネットの網目に植毛針で結んでいるので一つのウィッグが植毛し終わるまで、最短で5日から7日かかります。
ウィッグ専門美容師が一つ一つデザインカットし、ヘアースタイルに仕上げます。
ウィッグの基本形を海外メーカーから輸入し、工房でウィッグ専門美容師がウィッグのサイズ、毛質、毛量などに合わせてカットし、ヘアーアイロンやドライヤーでヘアースタイルに仕上げます。
人の髪のカットできる美容師でもウィッグカットになれるまでは1年ほど時間がかかります。